脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


「いつ社長が会議に乱入してくるかわかんないってことか? それは気ぃ抜けないな」
「いいじゃないですか。あの西澤社長ですよ? 目の保養です」
「たしかにー! 真山さんたちは昨日西澤社長にお会いしたんですよね。いいなぁ」

真山の嫌そうな声も、無邪気にはしゃぐ若手女性社員の声も、右から左へと抜けていく。

「人当たりのよさそうな顔してたけど、目が笑ってなかったぞ。あれは多分、かなりの腹黒だな。派手に遊んでるっていう噂もあるし……片瀬? どうした?」
「愛梨?」

隣に座る美嘉から顔を覗き込まれ、愛梨はハッと我に返り、慌てて笑みを取り繕う。理人のことを思い出したせいで、知らずに顔が険しくなってしまっていたようだ。

「ううん、なんでもない。来週また西澤社長がいらしても納得してもらえるプレゼンをしなきゃなって考えてただけ」
「そうだな。よし、もう少し詰めるぞ」

理人の提案については、帰ったあとにひとりで悩めばいい。今はとにかく、カタセとのコラボがいかに魅力的なのかを伝える手段を考えなくては。

急いで思考を切り替え、理人を頭の中から追い出す。

その後、定時まで白熱した会議は続いたのだった。