『カタセを潰したいんですか?』
『ご提案いただいた共同商品開発企画は面白いと思いますし、こちらにも利益がありそうです。ですが、うちとしてはコラボする相手はカタセでなくても構わないんですよ』
過去の理人の言葉に苛立たなかったわけではない。脅しのようで不快だったし、一度は咄嗟に断ったほど荒唐無稽な提案だとさえ感じた。
「本当に悪かった」
理人はキツく拳を握り、揺れる瞳をこちらに向ける。
「でも、なにがあってもこの結婚を白紙に戻すつもりはない」
キッパリとした口調とは裏腹に、その表情はどこか不安げだ。
(もしかして、ずっと気にしてたのかな)
それとも、結婚を承諾しておいて同じ寝室を使うの躊躇っている愛梨を見て、婚約を反故にしそうだとでも思われたのだろうか。
すでに両家の親に挨拶も済ませ、こうして一緒に暮らしている。今さら引き返せないのは愛梨も同じだ。



