「僕、ひとりで寝れるよ? だからお姉ちゃんは、いつも通り理人と一緒に寝ていいよ」
「えっ?」
「夫婦は一緒に寝るんでしょう? 保育園のさくらちゃんに教えてもらったんだ。さくらちゃんのお父さんとお母さんも、毎日ぎゅうってして寝てるって言ってたよ」
さも当たり前のように言われ、その場の空気が固まる。思わず理人の方を見ると、彼も同じように気まずげな顔をしていた。
「でも、ほら、朝陽はここにお泊まりするのは初めてでしょう? だからお姉ちゃんと寝た方がいいかなって」
「ううん。僕、もうすぐ小学生のお兄さんになるんだよ。ひとりで大丈夫!」
自信満々に言われてしまっては、それを制する理由は見つからない。「おやすみなさい」と無邪気に手を振って愛梨の部屋に行く朝陽を見送ると、居た堪れない空気が漂う。
沈黙に耐えきれず、愛梨は話題を探して口を開いた。
「あ、あの。朝陽の相手をしてくれて、ありがとうございます。お料理だけじゃなく、お風呂までお世話になってしまって」
「いや、俺も楽しんでるから。ワガママも言わないし、すごくいい子だな」
「そうなんです。自慢の弟です」
「知ってる」



