脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


楽しそうに会話をする理人と朝陽を眺めながら、愛梨はここに至るまでの経緯を思い出す。

先ほど百貨店にいる時にかかってきた電話は父からだった。今夜から出張に行くはずだったが、静江が軽いぎっくり腰になってしまったと聞き、愛梨は慌てて実家に向かった。

父が帰宅するのは明日の夜。それまで朝陽を見てくれないかと相談され、愛梨はふたつ返事で引き受けた。

当然、愛梨が実家に泊まるつもりだったが、朝陽が『理人のおうちに行きたい!』と言い出したため、マンションで預かることになったのだ。

静江は『湿布を貼っておけば大丈夫ですよ』と申し訳なさそうにしていたけれど、大事をとって安静にしておくようにと伝えた。秀夫にも休暇を取らせ、週末は夫婦でゆっくり過ごしてもらう予定だ。

部屋に上がると、朝陽は見慣れないスタイリッシュなリビングをキョロキョロと見回している。その様子に、理人はクスッと笑った。

「やっぱり姉弟だな。初めてここに来た時の愛梨のリアクションとそっくりだ」
「すみません、姉弟揃って不躾にじろじろと見て……」
「謝ることないだろう。可愛いって意味だよ」

まるで朝陽だけでなく自分のことまで可愛いと言われているようで、つい赤面してしまう。