呆れた口調とは裏腹に、理人の眼差しは優しい。
「もしかして、愛梨がコラボ企画を立ち上げたのは朝陽くんのためでもあるのか?」
朝陽が欲しがっていた実験キットを手に取りながら小さく頷いた。
「それが、母との約束なんです」
誰かにこの話をしたことはない。早くに母を亡くしていたり、幼い弟のために努力したりしていることに、同情されたくなかったのだ。
けれど彼なら同情ではなく、理解してくれるのではないかと思った。
病床の母の言葉、朝陽が入社するまでに今の片瀬をもっと盛り立てたいと考えていること、でも決して嫌々ではないし、後継者になる朝陽を妬んだりもしていないこと。
それらを話すと、彼は「仕事ぶりを見ていれば、そのくらいわかる」と微笑んだ。



