素直な思いを口にすると、理人は目を丸くする。その表情を見た愛梨は、自分の放った言葉を反芻し、ぶわっと顔を真っ赤に染めた。
「かっ、帰りたくないっていうのは、その、別に変な意味じゃなくて……! ただもう少し話したいなって思っただけで、いかがわしい意味はないですから!」
まるで一昔前の誘い文句のような発言をしてしまった。勘違いされては困るとブンブンと首と手を振り回す愛梨に、理人は堪えられなくなったのか声を上げて笑った。
「そんなに大声で否定しなくてもわかってる。そもそも帰る家は一緒なんだから、勘違いしようがないだろ」
「そ、そうですけど……!」
愛梨の『まだ帰りたくない』発言を聞いた理人が驚いたような顔をしたから、てっきり誤解をされてしまったのだと焦ったのだ。
「それとも、俺が君の発言を〝いかがわしい意味〟だと勘違いして、昼間からどこかに連れ込むとでも?」
「そんなこと思ってません! ただ私にもおかしな意図はなかったって説明したかっただけです。もう、そんなに笑わなくてもいいじゃないですか」
いまだにクックッと笑いが止まらない彼を真っ赤な顔で睨みつけると、両手を上げた理人が「悪かった」と降参を示す。



