氷の外科医

そして、手術当日の朝。



病室から手術室への移動の際、ストレッチャーの横には裕人と長谷川、佐藤の姿があった。



緑色のスクラブに身を包んだ裕人は、普段の白衣姿よりもどこか凛々しく、そして執刀医としての鋭い雰囲気を纏っていた。



「ん?どうした?」



美雨の視線に気付き、裕人が声をかける。
  


「白衣じゃないのも、かっこいいね。
あんまりみないから目に焼き付けておこうと思って」



「な……っ!」



「おぉ〜?術前まで惚気ですか〜?」



すかさず佐藤が茶化し、和やかな雰囲気のまま手術室へと到着する。



前を歩いていた佐藤が手術室の自動ドアを開くと、ひんやりとした空気が頬をかすめた。



手術室の独特な空気に触れ、美雨の体がぎゅっと強張る。



無機質な機械音、無影灯の冷たい光、薬品の匂い。



覚悟を決めてここに来たとしても、誰だって怯んでしまうだろう。