『柚葉は男子にも恋愛にも興味ないんだから』
校舎の階段を下りながら、実夕の言葉が頭をよぎる。
……いやいやいや。
それとこれとは話が違う。
仮に私が男子や恋愛に興味があったとしても、朝イチの教室で周囲の目をフル無視してマカロンを食べているような男子を意識するはずがない。
そんなことを考えていたときだった。
……あっ!
不意に私の身体が宙に浮いた。
また最悪のタイミングで発動した、私の不運体質。
足を踏み外したのだと理解したときには、すでに視界が傾いていた。
このまま床へと叩き付けられる……。
衝撃と激痛を覚悟して、私はぎゅっと目を閉じた。
しかし、いくら待っても痛みを感じない。
それどころか、私を包み込んだのは、柔らかく、温かい感触。
誰かが私を受け止めたみたいだ。
閉じていた目を恐る恐る開ける。
私の目に写ったのは、さっきまで噂の渦中にいた、あの月島玲央だった。
