奇怪な天才は、私の不運をゼロにする。


…なんなの、この人。

そんな私の視線に気付いたのか、彼がふとこちらを向く。
前髪の隙間から覗く、澄んだ綺麗な瞳。
隠れることのできない距離で、目が合う。

しまった……!
見ていたのが完全にバレた!!

気まずさから、冷や汗が背中を伝う。

沈黙に耐えかねて、私はパニックになりながらブレザーのポケットに手を突っ込む。
そして、指に触れたものを、祈るようにして引きずり出した。

「あっ、あの……、お菓子、好きなの?よかったら、これ、あげる……」

差し出したのは、たまたまポケットに入っていたグミの袋。
それを、彼の机の上に置く。
……我ながら、あまりにも格好のつかない誤魔化し方。

彼はそっと指を動かし、まるで初めて見るものを観察するような顔をする。

「……ありがとうございます」

どこか耳に残るような、繊細な声でそれだけ告げると、彼は興味を失ったかのように、私から視線を背けた。