奇怪な天才は、私の不運をゼロにする。


「山田さんと柚葉さんは、いつからそんなに仲が良いんですか?」

「えっ?1年のときからだけど……、って!ちょっと待って!“柚葉さん”!?月島、いつから柚葉のこと下の名前で呼んでるの!?」

実夕が目を輝かせて食い付く。

その瞬間、私の脳裏には階段で手の甲に落とされたキスの感触がフラッシュバックした。
耳まで赤くなっているのが、自分でも分かる。

そんな私の焦りなど気にも止めず、月島君はマカロンを食べながら呟いた。

「僕は柚葉さんのことが気になってますので」

あまりにも唐突なカミングアウト。

「ええっ!?」

実夕の驚きに満ちた声と、月島君の何を考えているのか分からない視線に挟まれて、私は一刻も早くここから逃げ出したくなった。

私はパニックのまま、手元にあったおにぎりを無理やり口に押し込む。

「あっ、ごめん!ちょっとトイレ行ってくる……」

まともな返事もできないまま、私は立ち上がり、逃げるようにその場をあとにした。