奇怪な天才は、私の不運をゼロにする。


目的地へ向かう、バスの中。
私は実夕と隣同士で座り、他愛ないお喋りに花を咲かせた。

だけど、私の不運体質を見越したかの用意されていた、午前中のグループ対抗ゲーム……。

これは私を精神的に疲れさせるには十分なもので、やっと訪れたお弁当の時間に救われたような息を漏らした。

それぞれが木陰にシートを広げて、お弁当箱を取り出す。

「げっ!なにそれ、本当にお弁当!?」

その静けさを破ったのは、実夕の声だった。
私は実夕の視線の先にある月島君のお弁当箱を覗き込み、言葉を失う。

中に詰め込まれていたのは、チョコレート、タルト、そしてマカロン。

私たちの困惑なんか最初から気にしていないかのように、月島君はチョコレートを1つつまんで口に入れる。

「甘党なので」
「月島って学年トップレベルの天才なんて言われてるのに、そういう変わったところあるよね」
「うん、かなり変わってる」

実夕の言葉に同意するように、私も頷く。

すると、月島君は指先に付いたチョコレートの粉を舐め取りながら、こちらへ向いた。