その頃。 集中治療室では。 由夏への処置が続いていた。 医師と看護師が慌ただしく動く。 「バイタル、安定傾向です」 少しずつ。 少しずつ。 数値が戻っていく。 「……よし」 医師が息を吐いた。 由夏はまだ眠っている。 そして。 彼女自身はまだ知らない。 あの夜。 自分が蓮を庇ったことで。 蓮の中にあった感情が。 ただの「気になる女性」から。 決して失いたくない、大切な存在へと。 大きく変わり始めていたことを。