ENFJホストは、30歳INFJフリーターの初恋でした。




救急隊員が駆け寄る。



「こちらへ!」



蓮は抱えていた由夏の身体を、
救急隊員の指示に従ってゆっくりと地面へ預ける。



「意識ありますか?」


「さっきまで……喋ってました」



蓮は由夏から一瞬も目を離さず答えた。



「分かりました」



救急隊員が由夏に声を掛ける。



「聞こえますか?」


「……」



反応は弱い。



「分かりますか?」



由夏の瞼がわずかに動く。



「……」



「大丈夫です。今から病院へ運びます」



救急隊員が手際よく処置を進めていく。



蓮は少し離れた場所で、その様子を見つめていた。



「……大丈夫ですか」



思わず声が漏れる。



救急隊員は処置を続けながら答えた。



「今、できる限りの処置をしています。病院へ搬送します」


「俺も行きます」


「ご家族の方ですか?」


「……いえ」



一瞬、蓮の言葉が詰まる。



「ここの代表です」


「分かりました。搬送に支障がなければ、付き添いとして同乗していただけます」


「お願いします」



蓮は救急車へ乗り込んだ。



「愛莉、湊」


「はい」


「病院、後から来てくれ」


「分かりました」



愛莉の声が震える。



「由夏ちゃん……由夏ちゃん……っ、絶対大丈夫やから!」



扉が閉まる。



サイレンが鳴る。



救急車が走り出した。



°⭐︎′**⭐︎・°*⭐︎



救急車の中。



救急隊員が慌ただしく処置を続けている。



蓮は座席から、由夏を見つめていた。



「由夏……」



返事はない。



さっきまで自分の隣で働いていた人間が。



今は目を閉じたまま、何人もの救急隊員に囲まれている。



「大丈夫やからな」



自分に言い聞かせるように呟く。



「絶対、大丈夫や」



けれど。



握り締めた拳は。



震えていた。