加納欄の空白シリーズ35シーズン4

「先輩、この女の人、どっちに向かってるんですか?」

あたしは画面の端を指差した。

「マンションから離れる方向だな」

高遠先輩が映像を巻き戻した。

「最初の映像は午後七時四十二分だったよな」

「ああ。こっちは八時四十七分だ」

大山先輩が二枚の画像を並べた。

「でも、これだけじゃ同じ人か分かりませんねぇ」

「そうだ。だから服装だけで判断しちゃいけねぇ」

そのとき、あたしはあることを思い出した。

「先輩、真中さんって何時に帰ったんですか?」

「本人は七時半以降、家にいたと言ってるな」

「じゃあ、その時間に家にいた証拠があれば……」

「少なくとも供述の裏付けにはなる」

高遠先輩が勤務記録を手に取った。

「仁、真中の自宅は会社から電車で三十分ほどだ」

「昨夜の退勤時刻は?」

「午後六時五十二分」

大山先輩が時計に目をやった。

「七時半に帰宅できたか、経路を確認するぞ」