加納欄の空白シリーズ35シーズン4

「……別れ話です」

真中さんは、ようやく口を開いた。

「別れ話?」

大山先輩が聞き返した。

「私、もう隠れて付き合うのが嫌だったんです」

「宮原さんは何と?」

「電話では話せないって。それだけでした」

高遠先輩が手帳の写真に目を落とした。

「昨夜も七時から九時まで『空き』になってますね」

「……会う約束はしていました」

「えっ? でも、会ってないんですよね?」

あたしが尋ねると、真中さんは頷いた。

「七時半の電話で、今日は行かないって伝えたんです」

「宮原さんは納得したんですか?」

大山先輩の問いに、彼女は首を横に振った。

「家で待ってるって……そう言われました」

「それで、あなたは?」

「電話を切って、そのまま家にいました」

真中さんは震える声で付け加えた。

「……本当に、行っていません」