加納欄の空白シリーズ35シーズン4

「……私たち、付き合っていたんです」

真中さんは涙を拭いながら答えた。

「いつ頃からですか?」

大山先輩が静かに尋ねる。

「半年前からです。でも、会社には内緒で……」

「だから、手帳には名前を書かなかったんですね?」

真中さんは小さく頷いた。

「俊介さんが、誰にも知られたくないって……」

「それで『空き』ですか?」

あたしは思わず手帳の写真を見つめた。

「でも、それじゃ予定が空いてるみたいですよね?」

「……私も、そう言ったんです」

真中さんは俯いたまま続けた。

「ちゃんと名前を書いてほしかった。隠されるのが嫌で」

あたしは、あの言葉の意味がようやく分かった。

「それで会社で喧嘩になったんですね?」

「はい。でも、殺してなんかいません!」

大山先輩が少し身を乗り出した。

「では、昨夜の電話では何を話したんですか?」

真中さんは唇を噛み、なかなか答えなかった。