加納欄の空白シリーズ35シーズン4

「この手帳、宮原さんのものなんですが」

大山先輩が写真を指差した。

「ここに書かれた『空き』という文字、見覚えは?」

真中さんは写真をじっと見つめた。

「……予定が空いているという意味では?」

「普通はそう考えますよね」

高遠先輩が静かに頷いた。

「ただ、妙なことがありましてね」

「妙なこと……?」

「あなたと宮原さんが休暇を取った日にも書かれている」

真中さんの表情が僅かに強張った。

「それは……偶然じゃないでしょうか」

あたしは、どうしても気になっていたことを尋ねた。

「真中さん、会社で宮原さんに言いましたよね?」

「……何をですか?」

「ちゃんと、あきこって書いてよ、って」

真中さんが勢いよく顔を上げた。

「どうして、それを……」

「同僚の方から伺いました」

その瞬間、真中さんの目から涙がこぼれ落ちた。