加納欄の空白シリーズ35シーズン4

「名前?」

大山先輩が足を止めた。

「はい。ほら、真中さんが言ってたじゃないですか」

「ちゃんと名前を書いてほしい、か?」

高遠先輩が顎に手を当てた。

「でも、空きなんて名字の人、いるんですかねぇ?」

「お前が言い出したんだろうが」

大山先輩が呆れたように笑った。

だって、思いついちゃったんですもん。

「仁、ちょっと待てよ」

高遠先輩が何かに気づいたように顔を上げた。
「真中の名前、何だった?」

「真中久子さんですよぉ。あきこさんです」

「……あきこ?」

大山先輩が小さく呟いた。

「空き……あき……」

三人の間に、短い沈黙が流れた。

「まさか、名前を隠すための書き方か?」

高遠先輩が大山先輩を見た。

「まだ推測だ。だが、確かめる価値はある」

あたしは二人の顔を交互に見つめた。