加納欄の空白シリーズ35シーズン4

「済んだことでも、お話しいただけませんか?」

大山先輩が穏やかな口調で尋ねた。

「……宮原さんが、約束を忘れたんです」

「約束?」

高遠先輩が聞き返した。

「仕事の引き継ぎです。私の名前を書き忘れていて」

「それで、ちゃんと名前を書いてって?」

あたしが尋ねると、真中さんは頷いた。

「ええ。そういうことです」

大山先輩は手帳を閉じた。

「宮原さんとは、仕事以外でも会われていましたか?」

「……いいえ。どうしてですか?」

「確認しているだけです」

真中さんは膝の上で指を組み直した。

あたしは、その手元をちらりと見た。

「真中さん、昨日の夜は何をしてました?」

「自宅にいました。一人で」

「何時頃からですか?」

「七時には帰っていましたけど……」

真中さんは、あたしたちの顔を順番に見つめた。