加納欄の空白シリーズ35シーズン4

その日の南署は、朝から妙に静かだった。

 欄は自分の机に頬杖をつき、書く気もない書類を眺めていた。

「大山先輩〰️、平和ですねぇ」

 隣の机で報告書を書いていた大山仁が顔を上げる。

「平和が何よりだろ?それより、お前がそう言うと、ろくなことが起きねぇから、黙っとけ」

「えーっ、あたし、疫病神ですかぁ?」

「自覚があるなら黙って仕事しろ」

 高遠先輩が向かいの席から笑った。

「仁、今日は随分と静かじゃねぇか」

「こいつが余計なことをしなきゃな」

「ちょっとぉ! 大山先輩も、高遠先輩もひどくないですかぁ?」

 欄が唇を尖らせた、そのときだった。

 机の上の電話が鳴った。

 大山が受話器を取る。

「はい、強行犯係。……殺し?」

 高遠の表情から笑みが消えた。

 欄は、早くも出かける準備をしてる。

「場所は?」

 大山は手元のメモに住所を書きつけた。

「分かった。すぐ向かう」