あの桜の木の下でもう一度、出逢いたい

教室の隅の席に座りながら、私はため息をついた。

新学期の賑やかな教室。あちこちで生まれる楽しそうなグループの輪。

昨日、佐波先輩に「学校がちょっと楽しくなった」なんて書いてしまったけれど、やっぱりこの場所は私にとって、少しだけ居心地が悪い。

……それでも。

今日の昼休み、あのノートにどんな返事が来ているかを想像するだけで、胸の奥がじんわりと温かくなる。

「海月ちゃん、って呼んでくれた……」

先輩の軽やかで優しい文字を思い出す。

それだけで、固まっていた心が少しだけ解けていくような気がした。

待ちに待った昼休み。私は誰にも気づかれないように旧校舎裏へと走った。

桜の木の下のノートを開くと、そこには先輩からの新しいメッセージがあった。

『みつきちゃん、嬉しいこと書いてくれるじゃん!
俺と喋って楽しいなんて、見る目あるねー(笑)
学校が辛いって言ってたけどさ。友達つくりたい、って思ってる?
もしそうなら、俺ができる範囲内でアドバイスするよ!』

「友達……つくりたい、です」

誰もいない桜の木の下で、小さな声で呟く。

ひとりでいるのが平気なふりをしているけれど、本当は寂しい。誰かと笑い合いたい。