あの桜の木の下でもう一度、出逢いたい

『リレーのアンカーなんて、すごくかっこいいです!
佐波先輩、きっとクラスの人気者なんですね。
1年生は台風の目とダンスをやります。
私は運動が苦手なので、足を引っ張らないか今からドキドキしています……』

ペンを走らせながら、胸の奥が少しだけチクリと痛んだ。

眩しい太陽の下でグラウンドを駆け抜ける佐波先輩と、陰で小さくなっている私。

もし普通に学校ですれ違っていたら、きっと一生話すこともなかったんだろうな。

ノートの向こうにいる先輩の存在が、なんだか遠くのキラキラした星みたいに思えてしまった。

翌日。

『人気者とかやめろって! 照れる!
ただ単に、ジャンケンで負けただけだから!
でもさ、みつきちゃんが応援してくれるなら、ぶっちぎりの1位目指して本気で走っちゃおうかなー。
当日、楽しみにしててよ!』

「……ぶっちぎりの1位、かぁ」

ノートを胸に抱きしめると、鼓動がトクンと跳ねた。

走る先輩の姿を想像するだけで、顔が熱くなる。

体育祭なんて大嫌いだったのに。

先輩の走る姿が見られるなら、当日が来ることが、ほんの少しだけ楽しみになっていた。