最期まで笑って。

あの日から1週間。

『そんな、映、嫌だよっ…!』

『ずっと一緒にいてあげられなくてごめん、笑香。』

「は、ゆ…。っ…映!!」

ハッと目を覚ます。ゆ、夢…。

「…笑香…。」

急に私の名前を呼ぶ声がして、声がした方を見る。
映が、私の方を見ていた。その声は、かすれていて。
私物のカレンダーを見る。っ…嘘…。

もう、1週間経ったの…?

「映っ!嫌だ、よ。まだ一緒にいようよ!!…光が欲しいよ…。」

「…ごめんね。笑香。本当に。最後まで、一緒にいるって思ってたのに…。」

「っやめて!!謝らないで!!映は何も悪くない!」

「でも、最後まで笑香の横にいれなかった。笑香を楽しませられなかった。…まだ、一緒にいたかった…。」

「…は、ゆ…。」

「だから、笑香は私の分まで生きて。」

ボロボロと涙がこぼれ落ちる。

「…最期は、笑ってお別れしようよ。」

「…私が死んだ時は、天国でまた一緒にいてくれる?」

「もちろん。」

「その時は、出迎えてくれる?」

「うん。」

「…映。」

「何?」

「光を、楽しさを。全部くれて…ありがとう。」

「うん。」


「「大好き!」」

笑った。泣きながらも、笑った。
そして、映は静かに瞳を閉じた。
…もう、光はない。
暗闇に、飲み込まれるような気がした。
笑っていようと、決めたのに。こらえていたものが全部溢れ出す。涙が映の冷たい頬にポタポタと落ちる。

それから映の親と、看護師さんたちも来た。
初めて映の親にあいさつをした。
映との関係も、全部話した。映の親は、私の話を最後まで聞いてくれて。お礼を言ってくれた。
「映を最期まで楽しませてくれてありがとう」って。
私が映に楽しませてもらった側なのに。

その日から映のいない、私の孤独な一日がまた始まった。