俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

律は迷いのない手つきで、トレイからゼリーのカップを取り出すと、スプーンでカップのフィルムを器用に破り、ゼリーを掬って葵に向かって差し出してきた。

​「え……!?  先生……?」

​「食べろ。1口残さずだ」

​「あ、あの……自分で食べられます」

​「手元が狂ってこぼされたら時間の無駄だ。俺が食べさせてやる。口を開けろ」

​「っ……!」

​圧倒的な俺様命令。

断る隙を与えない威圧感だ。

​医師や看護師たちが聞けば腰を抜かすような「天才外科医によるゼリーの強制給食」が始まった。

​至近距離にある律の手。

無駄な動きはない。 

だが、スプーンが驚くほど優しく葵の唇へと運ばれる。

​律は葵が1口食べるたびに、「よし」「次は半分だ」と、まるで扱いづらい子供に言い聞かせるような言葉をかける。

​(冷たいことばかり言うくせに……どうしてこんなに過保護なんだろう)