俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

葵が抱える病気は「特発性難治性心筋疾患」。

この病気は、この病院にとっても、そして主治医である御堂にとっても、大きなリスクを孕んだ存在なのだということは、葵自身も薄々感づいていた。

​症例が少なく、治癒の保証がない難病だ。

もし自分の手術や治療が失敗すれば、病院の評判に傷がつく。

ましてや御堂律は、この御堂記念総合病院の理事長の息子であり、若くして第1外科のエースとして君臨する存在だ。

御堂を失脚させたい周囲の人間にとって、自分は格好の「弱点」になり得るのだ。

​(私のせいで、御堂先生の立場が悪くなっているのでは……)

​葵の胸の奥に不安と申し訳なさが、じわじわと広がる。

その答えを知る機会は、思いがけない形で訪れた。


​午後の精密検査のため、車椅子に乗せられて移動していた時のことだった。

特別病棟の奥にあるカンファレンスルームの前を通りかかった瞬間。