「美雪、なーにたそがれちゃってるの?」

隣にやってきたのは、同じ心理学部の親友、筑紫怜奈(チクシレナ)だ。

「別にたそがれてなんかいないわよ。
おかわり~」

私がグレープフルーツサワーを飲み干してグラスを上げると、すぐにカンジ君が店員さんに頼んでくれた。

ここのは、自分でグレープフルーツを絞って入れるタイプのチューハイ。

届けられたグレープフルーツを絞ろうとしていると、

「やりますよ」

とリョウ君が絞ってくれた。

これで、もう3杯目、いや4杯目?

私はアルコールに強いが、今日はカンジ君に負けじと、ハイペース。

でも、まだまだ、ちょっと気分が高揚してきた程度。

リョウ君からグラスを受け取り、口に運ぶ。

テーブルに来た料理を、リョウ君の向こうの男子がまわしてくれた。

彼は……なんて言ったっけ?