「殿下の母君は正真正銘、アロワナ皇妃ですよ」
「で、でも‥」
ライカンの事だとしても、それはそれで驚く。私生児であるライカンに爵位を譲るなんて‥‥。
戸惑うアーリアに、ライカンはにやりと言った。
「父は変わり者なのです。この事は私と父と、一番上の兄しか知りません。コンラッド侯爵、侮っていましたが、なかなかやりますね」
ライカンの眼が殺意を宿して鋭く光る。アーリアの瞳と眼が合うと、すぐに表情が戻った。
「殿下は私が私生児ならば、結婚するのが嫌ですか?」
「それは関係ないわ」
アーリアはきっぱりと言った。
「そうでしょう?私もです」
「で、でも、ライカンの場合は違うでしょう?わたくしが私生児だったら、婚約すれば利がなくなってしまうじゃない」
「利?」
ライカンはそのままぽかんと口を開けると、震える声で言った。
「で、殿下。まさか私が殿下と結婚するのは、利益を考えての事だと思っていますか?」
「え?ええ。皇族のわたくしと婚姻を結ぶことで、皇室との繋がりを強くしたいのかと‥‥‥」
「違います」
震えていた声は低く重くなった。
アーリアの顔にくっつく程の距離で言うライカンの圧に、アーリアは後ろに下がった。実際はライカンの腕の中にいるので、下がれる程の距離はない。
「ち、近いわ。ライカン‥‥」
顔を逸らし、ライカンの顔を押しのける。が、やはりびくともしない。
「じゃあ何故わたくしと結婚したいのよ」
目の前にある整った顔に、アーリアは半ばパニックになりながら叫んだ。
「好きだからです」
吐息がかかるほどの距離で、ライカンは言った。
「他には?質問があったら答えるので、手短に聞いてください」
ライカンの瞳に焦りと熱を感じる。ブルーグレーの冷たい印象だった瞳は、今や扇情的な程輝いている。
「でもあんなに権力を欲してたじゃない」
「私に出世欲はありません。ご存知でしょう」
「じゃあ何故公爵になったのよ?」
「それは、一介の騎士が殿下を娶れるはずがありません。殿下には何不自由なく過ごして欲しいですから。全て貴方と結婚する為です。‥‥もう良いですか?我慢の限界です」
「限界って‥‥」
途方もない告白に、アーリアは固まったままだ。
ライカンの顔が近付いてくる。
(う、うそ?キスされる)
アーリアはギュッと目を閉じた。
‥‥が、何も起こらない。アーリアが薄っすら目を開けると、目の前にライカンの瞳が見えた。息のかかる至近距離で、ライカンは言った。
「口づけしてもいいですか?」
アーリアは返事の代わりに、ライカンの首に腕をまわした。
「で、でも‥」
ライカンの事だとしても、それはそれで驚く。私生児であるライカンに爵位を譲るなんて‥‥。
戸惑うアーリアに、ライカンはにやりと言った。
「父は変わり者なのです。この事は私と父と、一番上の兄しか知りません。コンラッド侯爵、侮っていましたが、なかなかやりますね」
ライカンの眼が殺意を宿して鋭く光る。アーリアの瞳と眼が合うと、すぐに表情が戻った。
「殿下は私が私生児ならば、結婚するのが嫌ですか?」
「それは関係ないわ」
アーリアはきっぱりと言った。
「そうでしょう?私もです」
「で、でも、ライカンの場合は違うでしょう?わたくしが私生児だったら、婚約すれば利がなくなってしまうじゃない」
「利?」
ライカンはそのままぽかんと口を開けると、震える声で言った。
「で、殿下。まさか私が殿下と結婚するのは、利益を考えての事だと思っていますか?」
「え?ええ。皇族のわたくしと婚姻を結ぶことで、皇室との繋がりを強くしたいのかと‥‥‥」
「違います」
震えていた声は低く重くなった。
アーリアの顔にくっつく程の距離で言うライカンの圧に、アーリアは後ろに下がった。実際はライカンの腕の中にいるので、下がれる程の距離はない。
「ち、近いわ。ライカン‥‥」
顔を逸らし、ライカンの顔を押しのける。が、やはりびくともしない。
「じゃあ何故わたくしと結婚したいのよ」
目の前にある整った顔に、アーリアは半ばパニックになりながら叫んだ。
「好きだからです」
吐息がかかるほどの距離で、ライカンは言った。
「他には?質問があったら答えるので、手短に聞いてください」
ライカンの瞳に焦りと熱を感じる。ブルーグレーの冷たい印象だった瞳は、今や扇情的な程輝いている。
「でもあんなに権力を欲してたじゃない」
「私に出世欲はありません。ご存知でしょう」
「じゃあ何故公爵になったのよ?」
「それは、一介の騎士が殿下を娶れるはずがありません。殿下には何不自由なく過ごして欲しいですから。全て貴方と結婚する為です。‥‥もう良いですか?我慢の限界です」
「限界って‥‥」
途方もない告白に、アーリアは固まったままだ。
ライカンの顔が近付いてくる。
(う、うそ?キスされる)
アーリアはギュッと目を閉じた。
‥‥が、何も起こらない。アーリアが薄っすら目を開けると、目の前にライカンの瞳が見えた。息のかかる至近距離で、ライカンは言った。
「口づけしてもいいですか?」
アーリアは返事の代わりに、ライカンの首に腕をまわした。

