ぱちりと、音が聞こえた気がした。
なんだろ。
火の音に似ているが、キッチンの火の音がここまで聞こえるはずがない。
…気のせいか。
私はそう思って、スマホに手を伸ばす。
いつもこうだ。
現実から目を逸らして好きなことをしてしまう。
…なんか臭い。
ぱちっとした音が聞こえてからしばらく。
変な匂いがする。
何の匂い?
記憶をさかのぼれば。
お母さんが肉じゃがの話をしていた。
…あ、肉じゃが!
焦がしちゃったかも!
まずいと思って、自分の部屋の扉を開けてキッチンへ向かおうとする。
階段を降りようとした時。
…なに、これ。
視界いっぱいに映ったのは、燃え盛る炎だった。
観葉植物にも火がついて。
近づくのも無理なくらいに熱い。
火事だとはわかる。
逃げなきゃ。
わかっているのに。
怖くて。
足が動かない。
突然、視界がぼやける。
その場に膝をついた。
頭がくらくらする。
…あれ、私…。
そのまま、視界が暗く染まり。
何が起きたかわからないまま、私は意識を失った。
