【試し読み】転生公女は任期満了に伴い家族の元に帰らせていただきます~役立たずと捨てられましたが、『星詠み』は国を守る希少スキルですよ?~

 ……ま、それももうすぐ終わるでしょうけどね。
 先日、面白い未来が見えた。
 予言者スキルを持つものは、どうしてか自分自身の未来を読むことはできない。
 けれども、第三者の未来を通して自分の未来を推し量ることはできる。
 先日見えたのは王太子チェスターの未来だった。
 それも直近の未来だ。
 星が示した通りなら、そろそろその予言通りのことが起こるはずである。
 わたしはわくわくしながら、ひとりきりの朝食をとった。
 食事を運んできたり食器を片付けたりするメイドは側にいるが、チェスターや他の王族はいない。特別な用事がない限り、わたしはいつもひとりきりで「星詠宮」で食事を取る。この四年、ずっとだ。
 身の回りの世話をしてくれる侍女もいるけれど、彼女たちも用がなければやってこない。
 どうやら「予言者スキル」を持っているということで恐れられているのかもしれない。
 わたしの予言者スキルは、あくまでも星が語る未来を見て知るものであり、誰かを呪うものでも、わざと悪い未来を生み出すものでもないというのに。
 ……まああれよね、前世の占い師が、時に胡散臭いとか言われたりするのと一緒だわ。
 前世でも、ずっと昔は「予言者」と名のつくものは恐れられたりもした。たとえば、ミレニアムを前に、人類が滅亡すると予言したノストラダムスのように。
 ノストラダムスは十六世紀に実在した占星術師で、彼が書いた予言書の中に「恐怖の大王」に関する記述がある。
 ――一九九九年の七月に、空から恐怖の大王がやってくる。
 それが一九九九年に世界が滅亡すると解釈され、ノストラダムスは時に、自らの予言書に記した「恐怖の大王」という代名詞で呼ばれたりもした。
 だから、未来を予言できるわたしも、薄気味悪い「恐怖の大王」くらいに思われているのかもしれない。
 ……実際、一九九九年に世界が滅亡したわけではないし、予言とは、当たるも八卦当たらぬも八卦なのよ。何でもかんでも予言や占いの通りになっていたら、人は自分で考えて生きられなくなるじゃないの。あーあ、馬鹿らしい。