【試し読み】転生公女は任期満了に伴い家族の元に帰らせていただきます~役立たずと捨てられましたが、『星詠み』は国を守る希少スキルですよ?~

 細かいことは気にすまい。
 言質は取ったし、書類もある。早く荷物をまとめてこんなところ、とっとととんずらしよう。
 わたしは一応の礼儀として、チェスターたちを見送るために立ち上がる。
 そして、最後の親切心で、ひとつだけ「予言」してあげることにした。
「殿下」
「なんだ? まだ何かあるのか?」
 振り返ったチェスターに、わたしはにっこりと微笑んだ。
「近く、星が降ります。お気をつけ遊ばせ」
 するとチェスターははっと鼻で嗤(わら)った。
「流れ星の予言か。つくづく役に立たない女だな」
 そう言ってエイダの肩を抱いて去っていくチェスターの背中に、わたしは今度こそべーっと舌を出した。
 ……バイバイ、顔だけ王子! 晴れてこんな国ともおさらばね!
 この四年、長かった。
 わたしはチェスターたちの姿が見えなくなると、急いで荷造りを開始する。
 ……待っててね! わたしの、愛する家族たち! 今帰るわ!