後ろの魔王様

本日最後の授業、生物が終わり、教科書を鞄に入れているところへ、陽奈がスマホ片手にやってきた。

そして私の目の前に、スマホの画面を見せてくる。

生クリームがこんもりと乗ったクレープがででんと表示されていて、スイーツ好きの陽奈が食いつくわけだ……と一人納得してしまった。


「ね、帰りにこれ食べ行かない?」

「生クリーム普通の量のメニューもあるよね?」

「あるよ〜。キッチンカーらしくて、近くの公園広場に来てるんだって」


「オレ、カスタードがいいんだけどォ」


後ろから、当たり前のように会話に参加してくる英くんは、大きく伸びをしてから頬杖をついていた。

そんな英くんに気を留めることもなく、陽奈はメニューを見て「カスタードもあるわよ」と答える。


……一緒に行くことは決定してるんだね?


「やっぱ定番のチョコバナナよね〜」

「オレ、いちごカスタードかなァ」

「心は?」

「……いちごチョコ」


そう答えたところで、ホームルームが始まる。

陽奈は自分の席へ戻っていき、私は前を向いた。
……すると、後ろからツンツンと突かれる。

私は前を向いたまま、椅子を後ろに下げた。


「なあに?」

「クレープ行きたいけどォ……なんか呼び出されてるからちょっと待っててほしい〜」

「……喧嘩じゃないよね?」

「違うよォ、なんかお話っぽい」


その『お話』が喧嘩にならなきゃいいけれど。

こっそり後をついていこう、と心に決めた。