後ろの魔王様

・ ・ ・


その日──。
一年一組の教室は騒がしかった。


転校生がやってくるらしく、クラスメイトたちは色めき立っていて、教室を出て行った担任の先生を今か今かと待ち望んでいた。

かく言う私もそわそわと落ち着かず、眼鏡のブリッジを人差し指で押し上げる。


「ほらほら、お前らー!落ち着けー!」


教室に戻ってきた担任の先生がパンパン、と両手を叩いて私たちを静かにさせた。

みんなが教室の前扉に視線を向ける中、先生に合図された人物は何食わぬ顔で入ってくる。


金色の髪はふわふわで風に揺れている。

垂れ気味の目は、眠たそうに細められていて。

身長は先生よりも少し大きくてモデルみたいに脚が長い。


第一印象はモテるだろうな、だった。

すぐにその印象は覆ることになるのだけれど。


「自己紹介してくれるか?」

「ん〜……?」


ポリポリ、と後頭部を掻きながら教室を見渡した。

そして、一番隅の席にいた私と目を合わせた。

瞬間──。


垂れた目をこれでもかと垂らし、教卓の横から踵を踏んづけた上履きをぺたんぺたんと鳴らして近付いてくる。

そして……。


「あの日助けてもらった英リオウでぇす!」

「ひ、人違いじゃないですかねっ!?」