後ろの魔王様

そして、英くんが頼んでくれた分の二枚目。


「えっ?!またハナビくん!?」

「え〜?マジでェ……なんかフクザツゥ」


しかも、デフォルメされたシークレットのハナビくん。

まさか、と思い三枚目も開封すると、まさかのまさか。ノーマルのハナビくんだった。


「うそうそ!?英くんすごい!ハナビくんだらけ!」

「ちぇっ……出てくんなって思ってたのにィ!」


また鼻を指差そうとしたから、急いでハナビくんを救出してバッグへとしまった。


しかし……英くんが神すぎる……。


「ホントありがとう……お取引必至だろうなと思ってたから助かったよ……」

「そのハナビぜってー飾んなよ、なんかヤだ〜」

「もちろん!大切にしまっておくよ!」

「それもなんかヤだ〜!」


再びの駄々っ子モード。

でも今の私は天にも昇る気持ちなので、まあまあ、と落ち着いて抑えることができるのだ。


「英くんは気になるキャラいないの?」

「ここちゃん」

「私は『夏影トワイライト』に出てないんだけど」

「ここちゃん」

「ここちゃんは出てませんってば〜」

「オレ、ここちゃんしか気になんないもん」


……またそういうことを言って、私の心臓を試すようなことをするんだから。


店内は騒がしいはずなのに、私と英くんの周りだけが切り取られたかのように静かになる。

膨れていたはずの英くんも真剣な眼差しを私に向けてきて、心臓の音だけがどくんどくんと耳にうるさい。


普段と違う服装だから。
普段と違う場所だから。

だから、こんなにも緊張するんだ。
きっとそう……。


そう言い聞かせるようにして、私は空になったはずのグラスをストローですすった。