嘘つきな3人

◇

朝目を覚ますと、もう隣に奏斗くんはいなかった。
毛布が綺麗に畳まれている。夜中に目を覚まして、自分の部屋へ戻ったのだろう。

支度をして部屋を出ると、ちょうど隣の扉も開いた。

「おはよ、紅ちゃん」

「おはよう」

夜とは違う呼び方。
伊久間くんはいつもの顔をしている。

「ちゃんと寝れた?」

「うん。伊久間くんは?」

「寝た寝た」

そう言って笑う。

昨夜、私の隣で珍しく先に眠ってしまったことには触れない。私も何も言わなかった。

「行こっか」

並んで階段を下りる。朝の空気はまだ冷たかった。

ふと隣を見る。
伊久間くんの手は、昨夜みたいに冷たいのか今朝は分からない。尋ねようかと思ったけれど、結局そのままいつもの道を一緒に歩いた。