いつもより甘く、ずっと優しい目で私を見下ろしていた奏斗くん。
やがて私が果てた後も、奏斗くんは隣に寝転び、私の髪をゆっくり撫で続けてくれる。
「眠れそう?」
「……たぶん」
「そっか」
いつもの奏斗くんは、私がうとうとするまで話しかけてくれる。けれどやっぱり今日は口数が少ない。
「……奏斗くん、眠い?」
「……ちょっとだけ」
「寝ていいよ?」
「大丈夫」
「でも」
「平気」
そう言ったけれど、しばらくして奏斗くんの呼吸がゆっくりになる。顔を覗き込むと、目を閉じていた。
「……寝た?」
返事はない。
こんなの、初めてかもしれない。
いつもは私が眠るまで起きていて、朝になれば隣の部屋へ戻っている。
眠っている奏斗くんを見たことなんて、記憶にない。
ベッドを抜け出して、端に置いてあった毛布を取る。起こさないようにそっと掛けると、少しだけ顔が緩んだように見えた。
そんな表情を見つめながら、ほんのり赤さが残る指先に触れる。冷たさは消えていて、ちゃんと温かくて安心した。
