食べ終わると、伊久間くんは空になった容器をまとめ始めた。
「置いておいて。そんなことまでいいよ、電子レンジもやってもらったのに」
「でも、紅ちゃん一人じゃ設置できなかったでしょ?」
意地悪な笑みをこぼす伊久間くんを睨む。
「そんな怖い顔しないの。じゃあ、俺戻るね」
「……うん。今日は本当ありがとう」
玄関まで見送ると、伊久間くんが靴を履きながら振り返る。
「壊したらまた呼んで。紅ちゃんならありえる」
「……壊しません」
扉が閉まって、一人になる。
キッチンへ戻ると、棚の上には新しい電子レンジが収まっている。朝までそこにあった古い電子レンジはもうなくて、代わりに真新しい電子レンジの扉が光を反射していた。
