一瞬、意味を理解するのが遅れた。
「……あ」
伊久間くんが何か言うより先に、私は首を振った。
「違います。そういうのじゃ、なくて」
言ってから、少しだけ気まずくなる。
店員さんも「失礼しました」とすぐに頭を下げた。
「まあ、腐れ縁みたいなものです」
伊久間くんは一瞬だけ黙ったけれど、そう言っていつものように笑った。
会計を済ませているあいだも、伊久間くんは古い電子レンジの処分方法や、保証内容を店員さんに確認してくれていた。
「伊久間くん、色々ありがとう」
「ううん。新しいレンジ使うの楽しみだね」
そう言って、伊久間くんは微笑んだ。
