欲しがる妹に婚約者をあげたら、なぜかキレられました。これって私が悪いのでしょうか?

 下を向けば、自分の長い銀色の髪が目に入る。
 どこまでも真っすぐな銀髪に、紫色の瞳。
 冷たさを感じるとか、顔がきついとか。
 ミレイヌと比べられて、そんな心ないことを親族たちによく言われたものだった。

 でもそんなことに悲観したところで、現実は何も変わりはしない。

 だからこそ、貴族としての振る舞いや愛想などは人一倍頑張ってきたつもりだ。
 なのに……。

「どうしたのアデライト。そんなに怖い顔をして入ってくるなんて」

 紅茶を飲んでいたらしい母の顔が、私を見た途端厳しくなる。

 別に怖い顔などしているつもりはない。
 もちろんどれだけ現状腹が立っていようと、それを顔に出す気もない。

 だってそんなことをしたら、負けだと私は思っているから。

「別に怖い顔などしているつもりはありませんが」
「そう? もっと愛想よくしないと。そんなだからルシアンに相手されないのよ」
「……」

 母は小馬鹿にしたように鼻で笑った。