「やっぱ幼なじみって、そういう感覚なのかな?
でも女にしてみれば、二人きりは違うの。」


「でもあいつ、俺の弟と稀紗の弟と4人でいると、座るときとか俺の弟といるし。」



順平と加代子は顔を見合せ、順平が質問を交代した。



「拓也、嫉妬か?」


「はっ?」


「やで悔しくてお預けしてるんか?」



そんなことない、と言おうとして考えた。



「そうなのか?」


「俺に聞かれたって困るわ。
でもまあ悔しいわな。」


「時々寛明が憎いよ。」



自嘲ぎみに笑った俺の肩を叩いて順平は言った。



「デート誘うの、全然恥ずかしくないで。
稀紗ちゃんもお前も引っ込み思案やから、機会が出来にくいんやな。
でも、稀紗ちゃん寂しがっとると思うぞ?」



あ、なんかジーンとくる。



「…今日聞いてみる。」


「そうしろそうしろ。」



順平はニッと笑って加代の隣に戻った。