私の彼氏と野球と私

「どこも行かないって。」



そう言って私の手を外して手を繋ぎながら私の横に座った。



「こうしたかったんだよ。」



何、放っていかれると思った?

優しく笑いながら、拓也は私の手を揺らした。




「うん、思った。」


「大丈夫。
行かないから。」



ゴメンな、と拓也は呟いた。



「お前も我慢しないで言えよ。
怖かったら怖かったでいい。
俺だって女で、男にあんなことされたら怖えぇよ。」



「う~。」



私はまた泣きそうになり、拓也の身体に顔を埋めた。