私の彼氏と野球と私

「取り敢えず俺ん家戻ろう。」



細い路地だから人は来なかったけど、いつ来るかわからない。



私は拓也にしがみついたままゆっくり歩き出した。



拓也はギュッと私の肩を抱いたままいてくれた。







少しの距離を時間をかけて戻る。



玄関に入ると、寛明が座って待っていた。



「お兄ちゃん!」



音に気付いてパッと立ち上がる。



私は顔を見られたくなくて、サッと拓也の体に隠れた。



「おかえりなさい。」



私は拓也の脇腹を叩いて返事を返せと合図した。



「…ただいま。」



ちょっと照れている。