私の彼氏と野球と私

「稀紗ぁっ!」



腕を引っ張られ、次の瞬間私は拓也の腕の中にいた。



「頼むからっ…!」



何を頼むの!?



「放してよ!
いやぁっ!」



もがくと余計に抱き締める腕に力が入る。



「放して!」



微かに嗚咽が漏れる。



「稀紗!
待って、聞いてくれよ…!」



つらそうな拓也の声。



足の力が抜けて、ガクリと傾いだ私を拓也は抱き留めた。