私の彼氏と野球と私

「私、なんとも思わないから。」


「それはそれでおかしい。」



身体を起こしていた稀紗が俺を見上げる。



「怒ればいい。
俺をなじってもいいし、それこそ腹殴っていい。」


「嫌だ。」



キッと稀紗は俺を睨み、言った。



「私が一番嫌なのは、拓也が一人で悩む事。
絶対私に言わないでしょ。」



いきなり語気を荒げた稀紗に圧倒され、俺はただ聞いていた。



「で、勝手に落ち込んで、私を放すでしょ。」


「勝手にってのは酷くないか?」


「うるさい!」



怖っ。



「勝手でしょそんなの。
私はそんなの…!」


「嫌、だろ?」