私の彼氏と野球と私

ゆっくりと身体を起こすと、稀紗が恐々俺を目で追った。



俺はどうしたらいいかわからなくて、フラッと部屋を出た。





「お兄ちゃん、どうしたん?」



寛明が心配そうに声をかけてきた。


うっとおしい。



「お兄…。」


「黙れよ。」



寛明は傷ついた顔をして、パタパタと廊下を走っていった。



走る寛明を無意識に目で追うと、ハッとランニングを思い出した。



玄関に出てスニーカーを履き、俺はもう暗くなっている外に足を踏み出した。