私の彼氏と野球と私

ただ俺を不安そうに見つめているだけの稀紗の服に手をかける。



「たくっ…!」



再び稀紗を見ると、顔を歪めて稀紗は黙った。



罪悪感がじわじわ広がり始めた。



Tシャツを腹まで捲くるとギュッと目をつむり、シーツを握り締める。



それでも、止めてとは言わない。


言わせてないだけなんだ。



「稀紗。」



呼ぶと、ゆっくりと稀紗は目を開いて俺を見た。



いつもは柔らかく笑っている目が、


涙に濡れて、


怯えていた。



俺は胸をザックリ抉られたような痛みを味わった。