私の彼氏と野球と私

「ムカつく。」


「えっ?」



俺は稀紗の手を引っ張り、順平に言った。



「順平、俺ら帰るわ。」


「そうなん?」


「後で戻って来るから。」



順平は稀紗を労るような目で見て頷いた。



稀紗は訳がわからず俺を見ていたから気付かなかった。








「ちょっ、拓也?」



早足で歩く俺に駆け足で追い付きながら、稀紗が俺を呼ぶ。



「なんで帰るの?」