*拓也side*



遅い。


マジで遅い。



イライラと机を指で叩いていると、玄関のチャイムがなった。



「遅い。」


「ゴメン。」



稀紗はペロッと舌を出して謝った。



「キモイ。」



言ってやると、睨まれた。


「女の子に失礼。」



稀紗はよいしょとカバンを担ぎ直し、玄関に入った。



「寛明いないの?」


「友達の家。」


「残念。」



だから、妬くよ?



キスしちゃうよ?



言おうとしてやめた。