私の彼氏と野球と私

「おまっ。キス?!」


「ゴメンなさい。」



俺は考えるより先に稀紗を抱き締めていた。



今、腕の中で、何年ぶりかに泣いている幼なじみがいる。



めったに泣かないから、どれだけ恐かったか、表れている。




「恐かっただろ?」



稀紗は返事の代わりに俺のシャツをギュッと掴んだ。


「俺達、まだキスしてなかったのにな…。」



コツンと稀紗の頭に顎をつける。



「ゴメン。」


「謝んな。」


「うん。」