*拓也side*



「稀紗〜。」



いくら呼んでも稀紗がいない。



どこに行った。



もう練習が終わって、みんな帰って行ったのに。



「あ、入江。」



暗い表情だったから気が引けたけど、声をかけた。



「稀紗見なかった?」



するとなぜか入江の目が見開かれた。



「どうした?」


「お前か?」


「は?」



聞き返しても、入江は無視して帰って行った。



俺はため息をついて部室に向かった。