リノ・イーシア ―知ってほしい でも理解できない―

 1996年のクリスマス。
 灯台広場でライブをやろうとした俺達は、川倉のギャングさん達に絡まれた。

 ギャングのお兄さんが俺の喉に銃を当てている。
 喉元の銃より、後ろから髪の毛を引っ張られてるのが不快だ。

 毛を逆立てて威嚇するだけの動物。

「リンジェ。お前がもう一回でも口答えしたら、こいつを殺す」

 ガーリック臭がハンパない。
「って、俺が言ったらどうするよ? なぁリンジェ!」
 至近距離で怒鳴られると、うるさいし臭い。

 灯台広場のコンクリ台の上で、タガさんとギャングさんが睨み合っていて、俺は髪の毛を引っ張られながら、突っ立っている。
 しょうもない寸劇を披露してるみたいで恥ずかしい。

 カチッと音がして、タガさんの表情が険しくなった。

「おい、どうすんだよ? もう口答えしないって誓うか?」
 よく言うよ。撃つ気なんかないくせに。

 しょうがないなぁ。

 仰け反らされてて、しゃべりにくかったけど言った。
「良いですよ。覚悟があるんなら早く撃ってください」

 口を半開きにしたタガさんが、目を大きくした。

 この広場でライブをするタガさん達がみたい。
 ドラムを始めたエドがどんな風に叩くのかみたい。

 みんながどんな風にライブを楽しむのかみたい。


 だから、俺にしかできないことをやろう。


「早く撃ってくださいよ」